週間ダイヤモンド誌 9月14・21日号 その2
<<歯列矯正編>>
矯正歯科を手掛ける大型歯科医院の倒産が続いています。
原因として、
・競争による患者さん数減少による収益の悪化
・過大な広告費が経営を圧迫
・安易な考えの患者さんと、それに対する安易な治療の台頭 → 当然うまくいくはずもない
マウスピース矯正も様々なシステムがあり、単に前歯のガタつきを取る(=矯正、咬合学的に正しい
ゴールではない中途半端なもの、中長期的に後戻り、顎関節症を引き起こすリスク)
ようなものまで様々。
簡単、安価なものがいいとは言えません。
・元々矯正治療のスキルがないのにマウスピース矯正に手を出して収拾つかなくなる
ある医院は歯科医自身に矯正のスキルが全くないため、スキャニング、治療計画作製、治療(レジン
アタッチメント装着等)、経過観察等全て歯科衛生士任せらしいです → 当然うまくいくはずもない
できもしないのにお金目当てで安易に手を出す歯科医が悪いのですが、そういう治療方法に誘導する
業者、歯科コンサルも問題です。
歯科コンサルについては何も言及されていませんが。
また、矯正専門医もインプラント同様ピンキリです。
パッと見た目の歯並びはキレイなものの、噛み合わせ(咬合)がしっかり確立できていないなど中には
酷いのもあります。
咬合というものの理解が低い。
したがって、矯正専門医から当院への転院ケースも少なからずありますから。
当院ではマウスピース矯正のみで治療可能なケースは全体の3〜40%程度、あとの40%はワイヤー
併用、残りはマウスピース矯正適応外=ワイヤー矯正と説明させていただいています。
・患者さんの理解と協力の問題
マウスピース矯正は患者さんご自身で着脱可能なため、歯磨きをきっちりできるというワイヤー矯正
と比較してアドバンテージがありますが、着脱自由ということは、患者さんがプロトコルを遵守しな
いと結果は出ないということ。
性格的にルーズな方には全く向かない治療方法であるとも言えます。
結果が如実です。
高度な歯科治療を行うには患者さんの理解と協力がマストであることは、マウスピース矯正に限った
ことではないですが。
一般的な治療中途脱落率は15%程度、当院のようにある程度患者さんを絞り込んでいるような状況
で5%程度です。
治療お断りしたので他院でマウスピース矯正行なったものの患者さん都合による中途脱落、当然ぐち
ゃぐちゃで結果も出ず、その医院でも責任は持ってくれず(当たり前の話)、また当院受診となったケ
ースも何例かあります。
(このような場合、コスト的には全く正規の金額が発生します)
インビザライン以外はいつ潰れてもおかしくない・・・・私見ですが、と、いうコメントは疑問があり
ますが・・・・・いつ、何があってもおかしくない状況。
書かれている通り、また、書かれていないとても言えないような年間症例実績も色々カラクリがありますから。
クリンチェックという治療計画ソフトにも色々問題あり、計画提案をしっかり精査し、修正繰り返さな
いと大変なことになりますが、前述のように歯科医は矯正のこと全く分からずスタッフに丸投げのよう
な医院では対応不可能だと思います。
また、このような事実を見て見ぬ振りしているフシもあります。
元々私がインビザラインを開始した頃は、ワイヤー矯正での治療経験ある歯科医にしかサービス提供し
ませんでしたが、今は数を売るためかそのような規制はありません。
インビザラインはマウスピース矯正の先駆的存在で、有効な治療方法の一つだと今でも考えていますの
で、ユーザーとして残念に思う部分はあります。
高コスト体質によりマウスピース自製への動きにどこまで対応できるのか。
書かれていませんが、自製マウスピースの精度と安価な材質使用での残留モノマー、洗浄不良によるアレルギー問題も浮上しています。
したがって当院ではシュアスマイルという別のマウスピース矯正(デンツプライシロナ)、通常のワイヤ
ー矯正も行っており、症例に応じて使い分けています。
シュアスマイルの方はインビザラインより治療成績が良かったりもします。
ご安心ください。
続く