根管治療とマイクロスコープ

今時の歯科医院の三種の神器といえば、CT、マイクロスコープ、光学スキャナーなんだそうです。

流行云々などお笑いです。

といっても、日本における普及率はそれぞれ20%以下ですが、これでも世界的に見ると驚異的な普及

率です。

しかしながらこれらを使いこなすには相当なスキルが必要です。

現行保健制度では、歯科医院に置いておけば、使わなくとも使ったことにして保健請求できるシステ

ム。

必要もないのにCT撮影。

また、マイクロスコープ。

脳外科などは直視が基本ですが、歯科において口腔内は狭いので、反対に写ったミラーを見て細かい治

療を行う必要あるため、熟練度が必要です。

マイクロスコープについての問い合わせがちょくちょくあります。

患者さんはマイクロスコープを保有している歯科医院はさぞスキルも高く、ていねいな治療を行っている

だろうという考えかと思いますし、それは至極真っ当な考えです。

しかし、現実はそうではありません。

ただ単に歯科医院の客寄せのためのマイクロスコープ、診察室のオブジェたるマイクロスコープに何の意

味もないです。

保険診療においてマイクロスコープを使用するにはいくつもの要件があり、基本的には大臼歯に

しか使用できません。

マイクロスコープを使用しての根管治療は非常に時間かかります。

当院において大臼歯の根管治療は1回1時間以上、概ね2回で根管治療終了しますので、トータル2時間

以上の治療時間が必要です。

また、マイクロスコープ以外に様々な治療器具が必要であり、多くは使い捨て。(ディスポーザブル)

使い回しも多いらしいですが、当院では先が曲がったりしたら即破棄です。

頻回使用可能なものは確実に滅菌処理しています。

以上のことから保険診療において、実際にマイクロスコープを使用している医院は少ないと思います。

当院も通常はルーペ(ZEISS社製のものでmこれで十分、安物のマイクロスコープより確実に精度は高い

です。)を使用し、ルーペでは確認困難な根管口、根管内残渣、クラック等の精査に使用しています。

もっとも、マイクロスコープを最初から最後まで見続けて治療する必要もないのですが。

動画サイト等で、「当院のマイクロスコープを使った根管治療」を公開している歯科医院もありますが、

マイクロスコープから取り出したモニター像を見るととてもマイクロスコープの倍率とは言えず、

当院のマイクロスコープは最大倍率20倍〜、ルーペで5倍ですが、そのモニター映像は5倍程度で、

使っている意味ある?と思わずツッコミ入れたくなるものが多々ありますが、患者さんへの「アピール」

にはそれで十分と考えているのなら、えらく舐めたものです。

ネットなどで情報収集することは大変良いことですが、玉石混交の情報に振り回され、結局真理に辿り

着けず、怪しい事に引き込まれる方が少なからずおられます。

ご注意ください。