日本人女性に多い「とゆ状根」・精密根管治療

痛み、腫脹により来院。

他院において数年前に処置、ブリッジが入っています。

装着時より硬いものを噛むと痛みがあったそうですが、その歯科医院では様子を見て下さいと言われたり、鎮痛剤を処方されたりしただけだったそうです。

術前

同部ブリッジには動揺が。

左端の歯牙の歯根端には影が。

膿が溜まっているものと思われます。

その他の所見から、歯根破折、前医による治療時のパーフォレーションも疑われます。

補綴物を除去すると、案の定、前医が治療時に起こしたと思われるパーフォレーションが確認できました。

自分でパーフォレーション起こしたと自覚あるため、様子見と言ったり、鎮痛剤で誤魔化しだのが強く疑われます。

抜歯という選択もありますが、今回、患者さんと相談の上、保存する事にしました。

ただ、現在の保険診療ではMTAによるパーフォレーションリペア、根管充填はできませんので、保険外診療となりました。

また、根管治療後の補綴物も保険外診療となります。

根管治療は何度もできるものではありません。

せいぜい数回です。

ましてや、歯科医が治療途中で歯牙に穴を開けてしまえば、今回のように保存可能な場合もありますが、通常は絶望的です。

初回の根管治療がその歯牙の運命を決めてしまうと言っても過言ではないです。

MTAによる根管充填後

マイクロスコープ下でMTAによる根管充填が終了した写真。

1ヶ月程度の経過観察後、3回の根管治療で終了。

歯根端の影は薄くなり、骨が出来つつあるようです。

この後、プロヴィジョナルブリッジ(仮歯)を装着してさらに経過観察行い、問題ないなら最終補綴物を作製します。

根管治療はいわば歯牙の基礎工事であり、この部分がいい加減な状態でセラミックだ何だの言っても始まりません。