矯正治療とインプラント治療のコンビネーション

インプラント専門誌(商業誌)の今月号の特集。

インプラントを矯正治療に用いると治療の範囲が広がるという話。

私的には何を今更、そんなこと20年以上前から行っています。

インプラント治療行うには残存歯牙のポジションが非常に重要なので、必然的に矯正治療が必要な場合が多いです。

他院で行われているような、矯正治療を行わず不利な歯牙ポジションのまま安易にただ単に欠損部分にインプラントを入れたものの大きな負荷がかかり、トラブルとなるケースが散見されます。

先日もご相談がありました、、、、、、、

その患者さんは矯正治療も希望されていたようですが、その歯科医院では時間がかかる、コストがかかるなど色々言われたようですが、要はそこまでのスキルがないようです。

結果、当院でインプラント治療、矯正治療など全顎的な治療=包括診療を進めてゆくことになりました。

矯正は歯の綱引き。

いくら大きくてしっかりしている奥歯でも小さな前歯を何本も引き込もうとすると、アンカーロスと言って位置が少しズレます。

そこでTADという小さなスクリューを用いて、歯牙移動の助けとする場合も多いのですが、元々欠損があるような歯並びだと、TADでは対応できない場合が多々あります。

TADは骨に打ち込むため、力がかかっても位置はほぼ不変です。

そこで欠損部分にあらかじめインプラントを打ち込み、骨と結合した時点でインプラントプロビジョナル(仮歯)を装着し、矯正をスタートします。

ここで非常に難しいのは、最終的に矯正治療で移動させる位置を事前に予測して正確にインプラントを打ち込む必要があるということ。

デジタルスキャナーや、古典的な模型を参考にしてインプラント埋入位置を決定しますが、ここまでできる歯科医はそう多くはないです。

使用する矯正システムはアライナータイプのもの、通常のワイヤータイプのものをケースに応じて使用します。

最近、このような複雑な歯科治療分野を組み合わせた包括診療を手掛けたもののうまく行かずに当院に相談に来られるケースは以前から多いですが、最近、増加傾向にあります。

前述の患者さんのように前医に対する不信感からの来院や、治療がある程度進んだ状態もしくは治療終了したものの不満があるものの対応してもらえない、中には悲惨な状態になっているものもあります。

ただし、患者さんが簡単に考えている結果、うまくいっていないケースも少なからずあります。

インプラント治療に矯正治療、自費根管治療、審美治療、その他と様々な分野を低いレベルで融合させても結果は望めない。

複雑な治療をご希望の場合は、よく調べられた方がいいと思います。

まあこれも歯科コンサルが色々言っているから「出来もしないのにできる気になっている」歯科医が多いからなのですが。