医療は道具が全てなのか?

医療機器の進歩は早いです。

歯科でもCT、マイクロスコープなどは高度な治療行う上で重要です。

これらは日本が世界一の普及率です。

と言っても10%程度ですが。

大学病院のように何十台も、また、当院のように一医院で複数所有している場合もありますから、全歯科医院の単純に10%ではないですが。

しかしながら患者さんは大きな誤解されている場合も多いです。

高度な治療機器は精度の高い治療行う上で必要条件ではあるものの、必要十分条件ではないと言うこと。

歯科医(一般医師も同様)のスキルさが大きいと言うことも。

患者さんから、「〇〇と言う診療機器はありますか?」と問い合わせもあります。

同業者からの探りの可能性もありますが、こういう患者さんは何を基準にして、何を期待しているのでしょうか?

実際来院されても治療内容には疎く、単に〇〇と言う診療機器があれば全て問題解決できると考えられているフシがある。

道具といってもピンキリ。

例えばマイクロスコープも安いものなら100万円程度からあります。

中古市場もあります。

それらを使いもしない、使えもしないのに購入し、使ったことにすれば保険請求できますから。

なお、当院のマイクロスコープはカールツァイス社(ドイツ)の800万円程度のものを使用しています。

歯科用マイクロスコープは世界的にスタンダードなものです。

そして繰り返しになりますが、道具は道具、マイクロスコープが勝手に治療してくれるものではなく、単に大きく見えるだけ。

根管治療に関して言えば、確実にラバーダムなどで防湿できているか、根管拡大、洗浄が確実にできているか、緊密な根幹充填ができたか、処置の過程で確認しながら行えているか、根管治療後の補綴物は精度の高い物が装着されているか、、、、、、、、様々な要素が高いレベルで達成していないと治療の成功は望めません。

また、保険診療においては使用できる要件があります。

他院に通院していたものの、マイクロスコープを使って治療されたことは一度もないと言われる方もおられますが、保険診療で全ての部分でマイクロスコープは使用できません。

正直、時間もかかる、消耗品コストもかかる状況で全てのケースにマイクロスコープの使用は無理があります。

当院でも保険診療は要件に合致する場合しか使用しません。

保険外診療、補綴物が保険外診療、その他当院の規定内においては保険診療適応外でもマイクロスコープは使用します。

根管治療専門医の中には根管治療のことだけしか知識がなく、歯周病治療、咬合治療、補綴治療、インプラント治療、矯正治療などをあとは違う熟知した歯科医に任せればいいものを自分でやってしまい、結果お粗末な治療となっている場合がありますのでご注意を。

一流の調理器具、最高の食材を用意すれば誰でも素晴らしい料理ができますか?

ゴルフでも野球でもプロと同じ道具を使えば同様のパフォーマンス出せますか?

ポルシェやフェラーリに乗れば誰でも最高のタイムを出せますか?

要はこういうことです。

内容(治療実績)提示できない歯科医は、道具自慢に走る傾向があります。

ハッキリ書きます。

「弘法筆を選ばず」は、プロの世界には通用しない、スキルのあるプロならば道具もそれなりに選択すべきですが、道具に振り回されるのは愚かなこと。

そんな情報に振り回される患者さんも同様。